2015年05月30日

思い出のスクリーン

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高校の入学式の次の日、初登校の時にとんでもない奴に出会った。制服からする
とこれから通う学校の先輩のようなのだが、そのナリからしてまず尋常 ではな
い・・・ジミヘン、というよりもむしろパパイヤ鈴木を思わせる極悪アフロヘ
アーにクロンボと呼んで差し支えない(別の意味で、ある)ほどの メラニン色
素の量、ストラトキャスターと思しきエレキギターを担ぎ、20インチの婦人用
ミニサイクルで平和橋通りを新小岩方面にひたすら爆走する その異様なまでに
ロックなお姿は、二週間前まで給食喰ってたボクちゃんをビビらすのに十二分な
ものがありました・・・

できればああいった物騒な方々とはあまり係わり合いにならずに、平穏無事な高
校生活を送りたい・・・などと登校初日にして早くも小市民的なことを 祈りつ
つ、緊張の面持ちで一年二組の教室に入りました。先ほどのジミヘンの出来損な
いが自分と同じ新入生で、しかも同じクラスであるという衝撃の 事実が判明し
たのはその直後です・・・志望校の選択を誤ったか?という考えが一瞬アタマを
よぎりました。しかしそんなサイケデリックでイカツい ルックスに相反して、
知り合ってみると中村くんはバスケ部所属のなかなか爽やかなナイスガイ。エ
リック・クラプトンを標榜し、黒メイプルのグレコ ストラトを愛用する中やん
が、なぜかハードロック同様好んで聴いていたのが八神純子。当時の愛車だった
三代目シルビアのカーステで掛けてました。 この「思い出のスクリーン」を聴
くと、ハードトップの窮屈な後部座席を思い出します・・・

作詞は初期の松田聖子作品でおなじみの三浦徳子、作曲は八神純子(本人)。前
作「みずいろの雨」のヒットを受け、この曲もラテンフレイバーの効い た
ちょっとサンタナチックな仕上がり。ボサノヴァ風の粋な(?)コード進行の名
曲。ギターサウンド中心のアンサンブルということもあり、八神純子 の中では
一番好きな曲です。イントロの印象的なツイン・ギターはもちろん松原師匠のプ
レイ。シングルコイル系の音に軽くオーバードライブ掛けてコ ンプとうっすら
コーラスで味付けってなところでしょうか?シンプルなフレーズながら、見事に
この曲の持つ哀愁と若干のけだるさを表現してます。ま さに適材適所、理想的
なイントロダクションと言えるでしょう!コードがBm7からB7に変わるので、下
のパートの最後の一音だけがDからD#に半 音上がってます。コードトーンに沿っ
たプレイで当たり前のことなのでが、芸が細かい!以上全くの蛇足です。が、し
かし!そんな師匠の燻し銀的職人 芸の余韻に浸っていられるのも1コーラスが
終わるまで・・・そのあとに何の前ぶれも、これといった音楽的必然性も無しに
突如として始まる人間離れ した超絶ベースソロに、全ては彼岸の彼方にブッ飛
んでしまうことになるのです・・・まるでドラクエの「凍てつく波動」です。

そんなゾーマな(?)べーシストが後藤次利。世間一般では秋元康と共同正犯で
「おにゃんこクラブ」や「とんねるず」カンケーで荒稼ぎした作曲家兼 アレン
ジャーとしてのイメージが強いですが、もともとはスラップ(チョッパー)奏法
という必殺技を持つ、バカテク売れっ子スタジオべーシスト。ス ラッピングが
日本でチョッパーとよばれるようになったのも、この人がティン・パン・アレイ
(松田聖子の記事参照)の「チョッパーズ・ブギー」とい う曲でこの奏法を世
間に知らしめたからです。このベースソロでも、「これでもかっ!」てなほどに
「チョッパー」が炸裂してますね。自分も家でたま にベース弾いてスラップの
まねごとをしたりしますが、これは死んでも弾けねぇな、という妙な自身があり
ます!うちのバンドのチョッパーべーシス ト、ピアスさんが前の晩に酒を飲み
すぎていなければ弾けるかな?というレベル5の難度。(どんなだ?)しかし当
人のブログによると、この曲でどん なベースを弾いたのかサッパリ憶えてない
そうです・・・奏法もさることながら、なにより凄いのはその「音」!まるでア
クティブ・ピックアップの付 いたスルーネックのベースに、思いっきりコンプ
レッサーとエキサイターをかましたような音なのですが、それは現代でのハナ
シ。この曲がレコーディ ングされた70年代後半に、いったいどのようなシス
テムでこんなに現代的なベースサウンドを具現化できたのか?例のマッスルス
ティックは発動され たのか?(笑)不勉強にして見当も付きません・・・この点
に関してはピアス氏の検証を待ちたいところです。

だいたいさぁ、1コーラスと2コーラスの間にベースソロ入れちゃおうってぇ発
想が普通はまず出てこないよね。ベース音の定位も始めはドセンターで 落ち着
いてるんだけど、ソロになると左右に振ってステレオで立体感を出し、音量のレ
ベルも明らかに上げられてる。このミキシング処理は、このベー スソロがアレ
ンジャー(もしくはレコーディング・ディレクター)の指示で、あらかじめ予定
されていたことを物語っています。思うに、「ゴトー ちゃぁ〜ん、ここでデー
ハーにスーベー弾いちゃって、弾いちゃって〜っ!」などと小指を立てつつアレ
ンジャーにそそのかされた、というセンが濃厚 です。そんなオカマちっくな
(?)アレンジャーは誰だ?と調べてみましたところ・・・またしても大村雅朗
でした・・・うーんマンダム、単なる偶然 か?それともやはり自分はこの人の
アレンジに惹かれてしまう運命なのか?まぁ、それだけ多くのヒット曲を手掛け
ている、ということなんですけど ね!たどり着けばいつも大村雅朗・・・

肝心の八神純子のヴォーカルも素晴らしいの一言っす!しかしこのひと本当に良
い声してますね。上から下まで声出まくりで、とくにファルセットの声 量は圧
倒的ですらあります。このひとのヴィブラートの掛け方はとてもリズミカルでギ
ターのヴィブラートに通ずるところもあり、非常に好感が持てま す!Bメロの
「愛しているのなら・・・」のパートでは主旋律をトップに三声でハモってま
す。正攻法のアレンジですが、2コーラス目だけは主旋律の ピンです。歌に絶
対的な自信があるからこそ可能なアレンジ、この部分だけヴォーカルがダブルト
ラッキングになってるように聴こえるけど、これは ディレイでの機械的な処理
かな?「みずいろの雨」では、出だしの「あ〜」の部分だけ明らかに歌を二回重
ねてパンチを増すことに成功してました。単 純ながら、効果絶大な小技です!
ドラム叩いてるのは、リズムの刻み方とこの時期のスタジオのメンツから考える
と林立夫か?まるで確証はありません が、もしそうだとしたら大好きなドラ
マーの一人です!

アウトロでは師匠も負けじと入魂のプレイ!ベースソロではポイント根こそぎ
持ってかれましたが、ここでイーブンに戻しエンディングに花を添えま す。
Gmaj7をトニックとするちょっとジャジィなUm7→X7進行を、Aドリアン(別にロッ
キーのかみさんではない・・・)スケール(というか EナチュラルマイナーのA
ドリアン的解釈か?)一発プラス所々半音パッセージだけでメロウに、時にスリ
リングに、見事にコード進行に合わせて乗り 切りってます。(あ、別にわかる
人にわかってもらえればいーです・・・)スリリングなプレイをするのに物理的
なスピードや難解なスケールチェンジ は特に必要ではなく、(出来るにこした
ことはありませんが・・・)シンプルなスケールだけでも音の選び方やリズムの
とり方でいくらでもスリリング にできるのだ、という事実を痛感させられま
す・・・これぞ珠玉の名演!このギターソロはコピーしたもんね!ベースソロに
は手も足も出ませんでした が、オレ、べーシストじゃないから別にいいや・・・

しかし36年前(!)に発表されたこの曲、音質、アレンジ等々、今聴いても全
く古さを感じさせませんね!単純に比較して良いのかどうかわかりませ んが、
この曲の30数年前に流行ってた歌は、「リンゴの唄」や「東京ヴギウギ」です
からねぇ・・・戦後のポピュラーミュージックの進歩がそれだけ 急激だったの
か、その後の進歩が停滞しているのか、はたまたオレの耳の、新しい「オト」を
感じる能力が低下しているのか・・・結論は出ませんが、 この曲が後世に残る
(もう残っている?)名曲であることに間違いありません!

https://www.youtube.com/watch?v=dIzPOfGFFRE
posted by VIVEFIVE at 19:58| Comment(6) | 日記
この記事へのコメント
イヤーびっくりたまげた!
この曲途中までは初めて聞く曲だな、という印象でさび前にきてあっこの曲!ってかんじでした。水色の雨はもちろん何度も聴いてるし好きな曲ですがこの曲はあまり印象に残っていませんでした。
 ではベースパートについてですが、おそらく当時のわたくしの音響機材(というかテレビ?)ではこのベースラインを聴くことはできなかったでしょう。あらためて今の音響機材で聞いてみると冒頭のびっくらたまげたの印象です。そもそもイントロで只者ではない後藤次利のうるさくこまめなフレーズが耳につきます。楽器のセットはピックアップはJJでもなくPでもなくおそらくPJ!もしくはPPのセットです。ボディーやネックに関してはエフェクターがかかりすぎていて全くわかりません。エフェクターはレスポンスのかなり早いリミッターもしくはコンプレッサーになりますが音の増幅は少なめの設定、もちろん両方使っている可能性も大です。そしてリバーブ系をほんの僅かかけている様子。現代のアクティブまんまの音なのですが、お金をかけて今のベースシーンにある音を出してます。もちろんイコライザーはプロ機材のグライコ10バンド以上でしょう。プレイ的にはとても下品なラインでいかにも後藤てきなプレイです。スラップも当時としてはありえないような技術!速弾き!やっぱ歌謡曲はすごいですね!リフレインが叫んでるなんかは当時笑っちゃうくらいの衝撃をうけました。
Posted by ピアス at 2015年06月05日 04:57
ピアスさん、詳細な解説ありがとうございます!

うーん、やはり当時の最高級プロ用機材を駆使してあの音を出していたのですか・・・それが今ではご家庭で簡単に・・・とまではいきませんが、スタジオ・サンのAスタで、ワーウィックベースにズームのマルチエフェクターだけでほぼ同様のスラッピングサウンドが再現できますからね!もちろんピアスさんのベーステクがあったればこその話ですが。

出始めのデジタルエフェクトなんかは馬鹿でかいラックマウントで何十万もしたけど、今じゃ当時とは比べ物にならないほどハイスペックなデジタル系、アナログ系がいくつも入ったコンパクトなマルチが、一万も出しゃ手に入るからねぇ。良い時代になったもんです!でも、テクはカネじゃ買えないけどね。あはは!

ユーミンの「リフレインが叫んでる」、名曲だよね!ドラムは明らかに打ち込みだけど、ベースはシンベかな?たしか三菱のクルマのCMで使われてたけど、なぜかこれはDTM(日本のスーパーGTみたいなドイツのカテゴリー)のバックに流れてます。

https://www.youtube.com/watch?v=Rm8LqbxdMP8
Posted by ミサイル・シュー at 2015年06月05日 22:33
懐かしの八神純子様ですかぁ。いや失礼、今もバリバリ現役ミュージシャンですね。

とにかく八神様といえばYAMAHAのCP70を奏でるお姿が強烈に印象に残っております。たしかボディが白(アイボリー?)のスペシャル仕様だったかと。

まぁ、八神様はアマチュア高校生時代からYAMAHA東山スタジオへ通っていた筋金入りのYAMAHA系ミュージシャンですからCP使ってYAMAHAのPRに一役買っているのも十分うなずけます。
Posted by ユートピア at 2015年06月07日 06:35
ヤマハCP70は打弦式エレクトリックグランドピアノの名器、確かに白いのを八神さんが弾いてた記憶があります。88鍵のがCP80、アップライト形がCP60だったよね。そう言えばCP60はピアスさんの家になかったっけ?

当時のヤマハはやれポプコンだ、イースト・ウエストだとイベント打ちまくり、アマチュア音楽の振興、裾野を広げるんだというもっともらしい大義名分の裏に、息の掛かった楽団屋にヤマハの楽器を持たせて、てめぇんとこの商品うらんかな、の商業主義が見え隠れ・・・

そういったオトナの事情も今なら解らないではないのですが、そんなヤマハのおためごかしな商売、当時は非常に胡散臭いモノに感じましたね・・・おかげで今でもヤマハ、ポプコン、ニューミュージック・・・といったキーワードにはカラダが拒絶反応を示します。うちのピアノも河合製だし。もっとも、少なくともオレの周りではヤマハの楽器を好んで使ってるアホもいなかったので、費用対効果のほどは・・・?

ヤマハの楽器で良いなぁと思ったのは、グランドピアノ以外では前述のCP、サンタナのSG2000、YD9000R、RZ350(あ、これは楽器ではなかった・・・)ぐらいですかね・・・ヤマハはピアノと2ストのオートバイ作ってりゃよろしい、というのが持論であります。全国のヤマハファンの皆さん、ごめんなさい。あはははは!
Posted by ミサイル・シュー at 2015年06月07日 21:01
CP60ありました。
3年前に粗大ごみとしてドナドナしました。
YAMAHAというとBB2000ですね。いまでもジャパンオールド?としてそこそこ高値で売買されてます。
それからやはりRZ350ですね。RZRやTZへと発展したオートバイです。RZ350の広告塔はあのケニーロバーツです。当時はかなりのスポーツバイクとして売り出したんですよね。まだフルカウルが許可されていない時代です。今最も注目されていて売れているのはMT−09!かつてのTRXのコンセプトに似ているところがあるのか?よくわかりませんがとにかく超スポーティーなネイキッドバイク安くて最高!欲しい!!
Posted by ピアス at 2015年06月07日 22:33
そうそう、BBを忘れてた!ポール・マッカートニーも一時期使ってた。イーグルベースと共に、バンド結成当時のピアスさんの愛器。今でも人気があるんですね!

ケニー・ロバーツとYAMAHAのYZR500は、当時無敵のコンビでしたよね!RZ350はナナハンキラーだったけど死人続出・・・走る棺桶の異名をとってましたよね・・・

CP60が粗大ゴミ!なんとも勿体無いオハナシ・・・引き取りにいきゃよかったな!

Posted by ミサイル・シュー at 2015年06月07日 23:39
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